若者は“宝”ーー重藤組だからこそできる経験とやりがいを若手に
written by ダシマス編集部
「超岡山志向」の建設会社として、1962年創業以降、岡山県で数々の建築を手がけてきた株式会社重藤組(以下:重藤組)。学校、病院、消防署、商業施設など、岡山県民にとって必要なあらゆる建築を手がけ、地域に貢献してきました。2022年に創業60周年を迎えています。
今回は同社の建築部の課長を務める小林明弘(こばやし あきひろ)さんに取材。小林さんご自身が思う仕事のやりがいから、若い人達が働きやすくなるために重藤組が取り組んでいることなどについて伺いました。
建築部 課長:小林 明弘(こばやし あきひろ)さん
岡山市出身。岡山理科大学付属高等学校から岡山理科大学専門学校の建築コースへ。専門学校を2006年に卒業し、重藤組に就職。施工管理職は2023年で17年目となる。趣味は食べ歩きです。いつも新しいお店を探しています。
取材・執筆:大久保 崇
『ダシマス』ディレクター。2020年10月、在宅ワークをするためにフリーランスのライターとして独立。2023年1月、クライアントの重要なパートナーとして伴走するべく法人化。“社会を変えうる事業を加速させ、世の中に貢献する”をミッションとする。
施工管理者に必要なのは現場のマネジメント力
――まずは重藤組さんの事業や仕事内容などからお聞かせください。
重藤組はゼネコンなので施工管理が主な仕事です。施工管理は工事スケジュールの延期、予算オーバー、事故、そういったことが発生しないように工事全体の管理を行う役割を担っています。
――主な一日の仕事の流れを教えてください。
8時頃から朝礼を行い、その日の作業内容を共有、安全確認をしてから現場は作業を開始します。施工管理者は工事が始まったら現場の巡回をし、危険な箇所がないかのチェックや現場の写真撮影をしつつ、工事を円滑に進めるために時には職人さんへの指示出しもします。
お昼休憩の後は、中礼という打ち合わせを挟んでから翌日の作業内容や人員、搬入物の調整を行い、現場の危険箇所の情報共有やお客様との打ち合わせなど。その後は現場の工事が再開し、再び巡回や写真整理、指示出しをします。
夕方16時頃からは事務所で事務作業を行います。施工計画書の作成、施工図の作成、写真の整理、行政向けの書類や発注書類の作成などですね。概ね、基本的にはこのような流れです。
――施工管理の仕事をするうえで大事にされていることは何でしょうか。
先日インタビューを受けた山崎君が言っていたように、コミュニケーションも大事ですが現場全体を把握するというマネジメント力が重要だと、僕は感じています。
▼山崎さんのインタビュー記事
60年以上岡山の建築を支えてきた重藤組。同社で施工管理者として働く面白さとやりがいとは
施工管理業務は工事全体の統括をする役割です。工期ごとに携わる業者、当日の施工業者の人数、保有資格など、適切な施工業務を遂行してもらうために全体を把握する必要があります。工事全体の動きを確認しながら、適切に一日の業務を円滑に終わらせることができるようにするマネジメント力が必要です。
これを怠ってしまうと、労働災害や労災事故につながる可能性が高まり、万が一、事故を起こしてしまったならば工期も伸びてしまいます。一週間や二週間、もしかしたら工事そのものを止める事態になることすらある。だから全体を統括するためのマネジメント力は必要不可欠ですね。
簡単な仕事ではないからこそ感じる喜びがある
――この仕事に感じるやりがいは何でしょうか。
施工管理は工期、原価、品質、安全の4つを管理するので大変な仕事だと思います。ただ、大変だからこそ竣工した時の達成感が得られますね。
また、今取り組んでいるプロジェクトでは、絵本作家の五味太郎先生と意匠の打ち合わせをさせてもらっています。意匠とは外観や色などの景観のデザインのこと。先生がプロジェクトの監修をしてくださっているのですが、このような著名な先生と知り合える機会があるのも、この仕事のいいところだと感じています。
――それは重藤組さんのように、一定の規模や実績がある企業だからということが大きいように思います。
そうかもしれないですね。重藤組は特殊建築物をメインにしているので、著名な芸術家や文化人に出会える可能性が高いかもしれません。
――芸術家の方と話ができるのは、非常にいい経験になりそうですね。
芸術家の方は建築関係の人間とは違って、見る観点が違います。細かい施工やおさまりについて知らなくても、色の使い方など人の感性に訴えかける部分はかなり繊細に考えてくださいます。このような出会いから学ばせていただいた感性も、今後の施工に活かしていきたいですね。
若手が多く、様々な経験が積める環境。女性も働きやすい職場
――続いて重藤組の特徴や強みを教えてください。
まず働く人の年齢として、若年層が多いことです。若い方はかなり入りやすいのではないでしょうか。
あと非常に意思決定のスピードが早いので、PDCAをかなり早く回せます。能動的な組織なので様々なことが経験でき、学べることが多いと思います。現在の従業員は恐らく80人程度ですが、仕事のスピード感が遅くなってしまうことはありません。
また、若手が勉強できる環境作りに力を入れるところも重藤組のいいところですね。若い人達が必要な資格を取得するため、試験前に一週間の代休を使用して試験に臨んでもらうこともあります。もし学校に通う人がいるのなら、その人には定時できちんと帰ってもらい、その時間を勉強にあててもらっています。
あと面白い特徴としては、福利厚生の一環でクリスマスケーキの配布や、誕生日にQUOカードがもらえるんです。また、従業員の配偶者に誕生日プレゼントが送られます。この業界ではなかなか珍しい制度だと思います。
――重藤組さんにはどういう人たちが働いているのでしょうか。
色々な人がいますが、女性が活躍しているのは一つの特徴かもしれません。現場監督になっている人もいますし、1年間育休を取って現場に復帰して頑張っている人もいます。また、課長や主任、あとは部長にも若い人間が多いので、新しく若手が入社してきてくれても近い目線でコミュニケーションが取れるかと思います。
――今後、会社として解消していきたい課題は何でしょうか。
業界全体の課題でもあるのですが、やはり人手不足ですね。建設業界で働く人々が高齢化し、離職が多くなっています。ですが反対に、建設の需要は急増しているんですよ。
だから人手が追いついていないのが大きな課題です。
建設業全体の人手不足問題は、行政にも動いてもらって取り組んでいく必要があります。そんな中、一会社としてできることは、このダシマスのように僕たちの考えや会社のことを発信して少しでも多くの人に興味を持ってもらうことです。
そして、業界に興味を持って入ってきてくれた若手にしっかりと技術を習得してもらう必要があります。会社としても育成に力を入れ、若手が一人前の戦力になるまでのサポートを強化しています。
――ダシマスでは建設業界の方々に取材をする機会も多いのですが、お話を聞いていると、どの会社も仕事のやり方が変わってきていて、クリーンな働き方ができるようになっている印象です。
おっしゃる通り、かなり変わってきています。僕が入社した15年前ぐらい前の頃はかなり遅い時間まで現場にいましたし、土日祝も基本的には仕事でした。現場監督が、職人さんと同じような現場仕事をしていることもありましたね。
でも今は役割分担も明確になり、特定の人にだけ負担がかかるようなことはなくなりました。土日祝も基本的に休みだし、仮に土曜日が仕事になった場合はローテーションして、皆が均等に休みを取れるようにしています。
若い人達は“宝”。優しさと厳しさを持って一人ひとりと向き合う
――現在、一緒に働く若い人たちについて、今後どういうところに期待されていますか。
安心して現場を任せられるようになることですね。重藤組は若い人が多くまだ経験年数が少ないので、現場を任せるためにもう少し経験を積んでもらいたい人が多いです。例えば現場に23歳の社員が2人いるのですが、勤続年数はまだ1年目と2年目。ですがしっかり頑張ってくれているので、一人前になってくれると期待しています。
若い人達は言ってみれば“宝”のような存在です。かといって大切に育てすぎて、温室育ちになってしまうのもいけません。優しさと厳しさを持って接していかないといけないですね。一人ひとりに個性があるので一様にはいきませんが、その個性を大切にしながら向き合うようにしています。
重藤組は若年層が多いからこそ、いかに早く人材育成をしていくかが課題です。今以上に人材が育つ環境を整備して、強い組織作りができるように会社全体が意識を向上していく。そういったことが今後は必要だと感じます。
――具体的にどのようなことをするのでしょうか。
例えば少し前から始めていることですが、月1回程度、若い人たちと不定期でご飯に行き、そこで色々な話を聞かせてもらっています。親睦を深めながら、仕事の相談や給料面のことやしっかりと休みが取れているかなど、素直な意見を教えてもらう場ですね。
また、話を聞くだけで終わらずに、きちんとレポートにまとめて部長など上層部と共有します。そこで真剣に話し合い、一人ひとりに対して今後どのような働き方をしてもらうのかなど方針を確認する。こうした状況をふまえて、僕たち課長や主任が現場で若い人達のバックアップをしていくようにしているんです。
働きづらそうにしている人がいれば、こちらも早めにその状況をキャッチしてフォローする。そうしていくことで「仕事が上手くいかずに辞めてしまう」という人を少なくできると考えています。
多くの人と協力しながら、一つのものを作り上げる喜びを一緒に感じてみませんか?
――最後に、この記事を読まれる方に向けてメッセージをお願いします。
施工管理という仕事は、基本的に自己完結できない仕事です。監督は、基本的に職人さんに頼らないと工事は進められません。
計画は自分たちで考えますが、実際に工事を進めるには大勢の人の力を借りる必要があります。大変なこともありますが、一つのものを作り上げる喜びが感じられる仕事です。また、一つとして同じ現場はないので、常に新しい気持ちで現場と向き合えるのもいいところだと思います。
興味があれば、説明会や現場見学に参加してみてください。そして重藤組一社だけでなく、何社も企業説明会やインターンシップに参加していただき、他社とはどう違うのかを比較してほしいですね。
――ちなみに小林さんは、どういった方に重藤組に来てほしいと思っておられますか。
きちんと掃除や片付けができること、そして元気な人だったら歓迎です。また、職人さんをはじめ様々な人と話をするので、コミュニケーションが得意な方ですと仕事を覚えるのも早いのではないかなと思います。
――全く未経験でも、施工管理にチャレンジできるのでしょうか。
やる気があれば全く問題ありません。1、2年、実際の現場で所長のそばで経験を積めば、たとえ未経験でも所長になれます。所長になるために必要な資格の取得も、会社がサポートします。未経験でも興味があるなら、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。
株式会社重藤組について
・ホームページ:https://shigeto.co.jp/
・採用情報:https://hr-hacker.com/shigeto