安定した商品供給はメーカーの宝。カイタックホールディングスのベテラン社員が生産管理として守り続けるものとは
written by ダシマス編集部
岡山で創業し、今年で75周年を迎えた総合アパレルメーカー、カイタックホールディングス。ファッションアイテムにとどまらず、ジュエリーや雑貨、インテリア商品まで幅広く取り扱い、事業領域を拡大してきました。老舗ならではの確かな品質と時代のニーズに細やかに対応する柔軟さを併せ持ち、日々魅力的な商品を生み出し続けています。
そんなグループ傘下であるカイタックファミリーの生産管理業務を長きに渡って担当し、新入社員の育成担当としても活躍しているのが、西山 博之(にしやま ひろゆき)さんです。勤続30年になるというベテラン社員の西山さんに、消費者にはあまり知られていない生産管理という仕事の重要性ややりがい、そしてカイタックホールディングスの魅力を語っていただきました。
西山 博之(にしやま ひろゆき)さん
1969年生まれ。岡山県倉敷市出身。玉島高校から名古屋学院大学経済学部卒業後、1993年カイタックファミリーに入社。勤続30年。小・中・高・大学・つい最近まで剣道を続けていたが、現在は活動休止中。私生活では地元の消防団活動にも従事し、日々地域の為に汗を流す。
取材:大久保 崇
『ダシマス』ディレクター。2020年10月フリーランスのライターとして独立。2023年1月に法人化し合同会社たかしおを設立。“社会を変えうる事業を加速させ、世の中に貢献する”をミッションとし、採用広報やサービス導入事例など、企業の記事コンテンツの制作を支援する。
執筆:神田 佳恵(PN:なりー)
フリーランスライター。"何気ない人生にスポットライトを当てる"をテーマに置き、インタビューを中心にイベントレポート・SNS・HPなど多分野にて執筆活動中。コミュニティ運営や編集アシスタントとしても従事し活動の幅を広げる。一児の母。夫と息子、note、推し、旅が好き。
生産管理は縁の下の力持ち。商品の安定供給を維持し続けるのが信頼獲得のカギに
ーー西山さんがこれまでどのような仕事を経験されてきたのか、伺ってよろしいでしょうか。
新卒で株式会社カイタックファミリーに入社して、今年で勤続30年になります。商品企画や営業部での勤務経験もありますが、ほとんどが生産管理としてのキャリアです。担当商品は婦人向けパジャマから始まり、お子様向けパジャマやナイティ、そして現在は紳士向けアンダーウェアを10年以上担当しており、今まで携わった商品ジャンルは多岐に渡ります。
また、新入社員の育成も任せていただいています。
ーー「生産管理」がどのような仕事なのか、教えてください。
一言でいうと製品を生産している工場で、決められた数量の商品を、品質を保ったまま納期通りに生産し納品まで管理をする仕事です。私が所属する紳士アンダーウェア部では、年間約1,000品番、枚数では900万枚の商品を国内外の協力工場で生産しており、それらが遅延や品質不良なく生産できるよう管理をしています。
指定通りの生産を前提としていますが、とはいえこれだけの量ですと問題が生じることもあります。いかに問題を起こさないようにしていくかや、万が一トラブルが発生したときにはいち早く対処することが生産管理の役割です。
ーー生地や材料の決定なども、西山さんが行っているのでしょうか。
商品の企画や生地や材料などを含む仕様決定についてはMD(マーチャンダイザー)やデザイナーが行っています。企画担当から作成した仕様書を受け取り、内容を確認して必要項目に記入を行った後、各生産工場へ情報共有するのが生産管理の仕事です。
他にも、工場側から製品仕様などについての質問があれば対応したり、不明点を関係部署に問い合わせて回答を共有したり。営業担当者から予定していた納品期日の前倒し依頼なども日々あるので、工場側へ依頼し調整をするのも日常茶飯事です。
ーー円滑な商品提供を支える縁の下の力持ちが、生産管理の仕事なのですね。
そう思っていただけたら嬉しいです。
会社としても、総合職の三本柱は「企画」「営業」そして「生産管理」といわれていますが、中でも生産管理は、一般的にイメージしにくい職種ではないかと感じています。ですが、納期などの約束事を当たり前のように守り続けるのが、お客様や取引先からの信頼獲得につながると信じています。
いわば生産管理は、企画担当と生産工場をつなぐ潤滑油であり、生産工場から営業担当、そしてエンドユーザーであるお客様を結ぶ橋渡し的な役割ですね。
ともに成長の喜びを分かち合う、生産工場との強い絆
ーーどんなことにやりがいを感じていますか。
営業担当やお得意先様からいただいた短納期のご要望に迅速に対応し、生産工場と連携して商品を納品し切ることができたときには、いつも達成感があります。急な納期の前倒し依頼も頻繁にあるので、その度に対応して小さな達成感を積み上げる。そんな日の連続なので常にやりがいを感じています。
生産管理は日々の生産を滞りなく行う仕事なので、営業や販売のように数値的なバロメーターはありません。ですが、前年と比べ売り上げが向上したといった話を聞くと、生産がスムーズに行われた結果なんだと考えて、モチベーションにつなげていますね。
ーーお仕事の中で、いつも心掛けていることなどはありますか。
生産管理では事前の段取りや環境整備、前持った行動が何よりも大切だと考えています。日々問題なく商品を生産し、納品し続けるためには、仕入れ先や生産工場へいかに素早く、そして正確に情報を伝達するかが重要なんです。前段取りを7割、目の前の仕事を3割くらいの姿勢で取り組んでいます。もちろん要望を投げっぱなしでは意味がないので、工場から回答を素早くもらい、最終的になんとか調整してもらえるよう交渉する必要はありますが。
仕入れ先との関係性も良好に保つよう意識しています。会社としても「三方よし」という言葉を大切にしているので。自社やお客様だけでなく、仕入れ先や関わる全員が幸せになれるような関係を目指すようにしています。私たちが仕入れ先や取引先といい関係で仕事を進めるのも、世の中の暮らしを支えるために大切なことだと考えています。
ーー仕入れ先との関係において、印象的なエピソードや嬉しかったことなどがあれば教えてください。
生産管理として、取引工場の変化や成長を見守ることができるのは何よりも嬉しいです。
現在取引している生産工場は14社あり、そのうち10社が中国を中心にした海外工場です。主力の取引先も中国の工場なのですが、かなり長いお付き合いをさせていただいていて、工場自体のレベルや規模、取引先の数もその間に成長しているのを実感しています。生産管理として、懇意の工場が弊社とともにぐんぐんと進化し、その喜びを共有できるのもやりがいの一つです。
ーー取引先との関係を大切にされている西山さんならではのエピソードですね。反対に、仕事をする中で難しいなと感じるポイントは。
会社としてもリスクを分散するために1社に集中して取引するのではなく、常に複数の工場とやり取りをするようにしています。そのため工場によっては生産の質や方法、コミュニケーションの取り方も変わってくるため、こちらの管理も工場に合わせて工夫しなければならないところに難しさを感じますね。
また、私は中国語が話せないので、基本的に日本語で工場側とコミュニケーションをとっています。工場側の通訳の方のレベルによっては、なかなかうまく意思疎通できないこともあって。無意識に電話の声が大きくなったり、ゆっくりと話したり、時折変なイントネーションで話していると同僚に指摘されることもあります(笑)。
働き方改革やボトムアップ型の取り組みなど、社員に嬉しい取り組み
ーー西山さんが30年もの間勤め上げることができた理由はなんだと思いますか。
社風が合っていた、というのが大きな理由ですね。入社当初は地元岡山の企業であることや、取り扱うアパレル商品にも興味があったことなど志望理由がいくつかありました。それでも今まで一貫して魅力だと感じているのは会社の信念や姿勢です。
「カイタック」という名前の通り、弊社は新しい商品を提案・企画し続け、ビジネスを“開拓”していこうというマインドを持った会社です。30年も勤めていると会社の仕組みや取り組みも大きく変わってきましたが、それでも挑戦し続ける姿勢は一貫しています。こうした会社の社風が好きなので、ここまで続けてこれたのかなと。
ーー実際に30年の中で、どのような会社の変化を実感しましたか。
特に実感しているのは、働き方改革への取り組みです。かつては世の中的にも残業への関心が少なく、私も必要であれば働けるだけ働いていました。現在の社長へ代替わりした10年前あたりから、残業時間削減への取り組みが本格的にスタートしたんです。
それまで縦割り文化が強く、同じ生産管理でも担当商品によって仕事のやり方がまったく異なっていたのですが、部を超えて業務内容を棚卸しする機会が設けられるようになりました。これは残業時間の削減だけでなく、他部署との連携や業務の一元化という大きなメリットにもつながったんです。
業務だけでなく、他にも書類作成や打ち合わせなど、あらゆる無駄を削減したことで、10年前は月平均18時間だった残業時間が、2.8時間まで低減できているそうです。ただ頭ごなしに「残業するな」とお達しを出すのではなく、会社として業務改善に取り組んでくれた結果だと感じています。
ーーものすごい変化ですね!残業時間を削減して、プライベートの過ごし方も変わりましたか。
仕事のストレスを溜め込まないよう、趣味を楽しむようにはなりましたね。自分ではあまり意識していなかったけれど、知らず知らずにストレスや疲労が溜まっていたようで、体調を崩してしまったことがあったので。
今は自宅で畑をしたり、庭いじりをするのをささやかな楽しみにしています。
ーー他にも会社の変化として感じるポイントはありますか。
現場社員の声を社長や会社のトップが吸い上げ、実際に会社の方針に取り入れてもらえるようになったのも大きな変化だと思います。
これも10年ほど前からスタートしている取り組みなのですが、全社員参加の意見提案や新企画提案の機会が年に2回用意されているんです。意見提案では、会社に対する改善要望や提案ができて、実際に設備の導入や職場環境の整備など、些細な内容もどんどん導入されています。新企画提案では、企画系の仕事をしていない社員も「こんな商品があったらいいな」と思うアイデアを自由に提案でき、実際に商品化に至ったケースもあるんです。
新入社員の教育環境も充実。“開拓”意欲を持ったチャレンジャーを求む
ーー現状の課題などはありますか。
目下の課題は、若手社員の育成です。業務の一元化がされているとはいえ、すぐに仕事を引き継いでもらうには経験や知識の差が大きく、私を含む誰が抜けてもうまく業務を回していけるとはいえない状況です。
そのため、これも10年前からの取り組みですが、新入社員教育の一環としてさまざまな勉強会を実施するようになりました。生地の材質や品質管理、貿易、CADなど、あらゆる方面の熟練社員から知識の共有を行うことで、次世代社員の育成に注力するようにしています。
ーー教育に力を入れているのは、新入社員の方も安心できる環境ですね。働く職場の雰囲気はいかがでしょうか。
和気あいあいとして、風通しもいい環境だと思いますよ。私が普段かかわっているのは、紳士アンダーウェア部の19名です。20代の若手社員から私のような50代の年輩社員まで幅広く、性別にも偏りはありません。同じ部の社員は近い場所で働いているので連携も取りやすいですし、急に誰かが休んでしまった場合にもみんなで協力してフォローしています。
私も若手社員に積極的に声をかけて日々楽しく仕事ができるように心掛けていますが、ジェネレーションギャップを感じることも多く、コミュニケーションは日々勉強中です(笑)。
ーーどのような方と一緒に働いていきたいですか。
チャレンジ精神豊富な方でしたら弊社を気に入っていただけると思いますし、そんなマインドを持った方とご一緒できたら嬉しいです。
私も長いキャリアになりました。仕事における判断能力やスピード感は、どうしても経験が物をいう側面もあります。でも慣れないうちこそ、前持って行動しておくことが大切だと若手社員には伝えていきたいですね。
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◆求人情報:https://www.caitacrecruit.com/